小さな恋の物語 *短編集*
『あの、これ落としましたよ?』



 可愛くて嫌味のない女の子特有の甘い声で俺に落とし物を渡してくれたのが、松井だった。



 この時の俺は今まで女の子に対して何とも思ったことがなかったのに初めて素直に“可愛い”と思ったことをよく覚えてる。



 少し控えめだけど優しい雰囲気を放ってて……。




 その日から少しずつ松井のことを目で追うようになって、いつからか気になる存在になってた。



 クラスが違うから全く接点がなかったけど、なんと2年になった時に松井と同じクラスになったんだ。



 まさか同じクラスになれるなんて思ってなかったから本当に嬉しかったなー。
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