小さな恋の物語 *短編集*
「そんなにいっぱいため息ついてたら勝てる試合も勝てなくなるぞ? ……し・か・も~♪」



 語尾に確実“♪”←がついてるこいつはいきなり分かりやすいくらい嬉しそうな顔をした。



「何だよ、気持ち悪いなぁー……」



「ふっふっふー。ちょい耳貸せ!」



 不敵に笑うタツに俺は強引に体を寄せられた。



 そんなタツにイラッと来ていたが、タツが発した言葉でイライラなんて吹き飛んだ。



 だって……。




「大雅、気づいてるか? …………応援席の端の方に松井さん来てるぜ」



「……えっ?」



 そうタツが呟いたから──。
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