小さな恋の物語 *短編集*
「ほらあそこ」



 タツに言われた方を見ると、見慣れない私服姿の松井がいた。



 何やら不安そうに仲良しの原田[ハラダ]と話している。




「よかったな大雅。松井が来てくれたんだから今日は絶対に勝とうな」



「……あぁ。絶対に勝つ」



 ──そうだよ。



 今日は絶対に勝たないといけないんだ。



 勝ったら俺は松井に伝えたいことがあるから……──
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