小さな恋の物語 *短編集*
秋も深まり、冬特有の澄んだ空気が気持ちいい季節になってきた今日この頃。
高校3年生である私、佐藤雅[サトウミヤビ]は職員室を後にしていた。
2月に国立大学の入試を控えた私はどうやら先生たちにもかなり期待されているようで何かとよくしてもらっている。
そりゃ、国立大学を受ける生徒がいたら学校としてもいいこと尽くしだししょうがない。
でも、期待されすぎても私にはそれが大きな荷物になっていることをちゃんと知ってほしい。
「はぁ……。もうすっかり冬だな……」
地味に話の長い担任から解放されたのは5時半。
もう11月後半にさしかかっているだけあってもう5時半じゃ外は真っ暗。