小さな恋の物語 *短編集*
 こんな真っ暗になるまで帰らせてくれないとか本当ありえない。



 親身に大学について教えてくれるのはありがたいけど仮にも私は女なんだから……。




 そう思っていると。



「佐藤……?」



「…………っ!! 辻井[ツジイ]先生……」



 誰もいない廊下には不思議そうな顔をした辻井先生が立っていた。




 ──辻井悟[ツジイサトル]先生。



 去年からこの高校に新任の先生としてやってきた24歳。



 数学担当の先生で私も去年から2年間連続で数学をもってもらっている。
< 133 / 175 >

この作品をシェア

pagetop