小さな恋の物語 *短編集*
 それは、授業中どこの誰よりも一生懸命ノートをとっているところや、先生の期待に応えようと必死に頑張っているところ……。



 見た目とは違う健気な姿を見た俺は、自然と佐藤のことを目で追うようになってた。




 そして3年生になった今、有名な国立大学の受験を期待されている佐藤だけど、佐藤自身はかなり無理をしてるみたい。



 1ヵ月前、たまたま職員室を後にした佐藤を見かけた時にそう思った。



 すごく複雑そうに顔をしかめていて、苦しそうに下を向いていた。



 そんな佐藤を見ていて俺はつい、


『佐藤は何でも溜め込むタイプっぽいから。辛い時とか嫌なことがあった時は俺のとこに来い。分かったか?』


そう佐藤に言っていたんだ。
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