小さな恋の物語 *短編集*
 素直にその気持ちはすごくありがたい。



 ありがたいんだけどね?





「橋田くん。ごめんなさい」



 そう言って私は橋田くんに頭を下げる。



「私……、好きな人がいるの」



 届くことのない想いだけど、私は蓮が好きなんだ。




「…………そっか……」



 私がそう言うと橋田くんは悲しそうに呟いた。



「うん。……でも、気持ちは本当に嬉しかったよ。ありがとう」



 振ってしまうことになるけど、これだけは絶対に言っておかないとね。
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