小さな恋の物語 *短編集*
「こらっ、北原! お前、俺の授業中に居眠りとはいい度胸してるなぁ」



 私の斜め前である“彼”の居眠りを発見した川田先生。



 本気で寝ていたらしい“彼”は、まだ眠いのをなんとか押し殺し顔を上げた。



「んん~……。…………あれ、川ちゃん? おはよー」



「はぁぁ!? 何がおはよー、だ!! それに、川田先生だろ!」



「はいはいっ。……ってか俺、寝てたんだ」



「お前なぁー……」



 けっきょく最初に折れたのは先生の方だった。



 だってマイペースで天然な態度をとられたらねぇ。
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