小さな恋の物語 *短編集*
「……桜、本当にキレイだよね。私、花の中で桜が一番好きなんだ」



 こんなことを初対面の人に言うのはどうかと思うんだけど、なぜか自然と言葉が出ていた。



 キレイで儚いピンク色の花を咲かせる桜。



 初めて見た時から、桜が咲くのを毎年楽しみにしていた。



 春にピンク色の花を咲かせて、夏には緑色の葉をつける。秋には赤く紅葉し、冬には花を咲かせるために一時散る……。



 そんな桜は私にとって大切な花になったんだ。




「俺もです」



 透き通った優しい声で彼は言った。



「俺も、桜が一番好きです」
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