ラヴィアン王国物語
指先にさっき剥がした闇の精霊のカス。
「このやろ、ここにいたか!」
とばかりに張り付いて、爪にチクチクと嫌がらせをしてきた。よくみると、毛虫とは違う。
シハーヴはくるんと宙返りして、虎に戻ると、アイラの腕に向かって飛び込んできた。
小刻みに揺れた毛並みの丸くなった背中を、アイラはそっと撫でた。
「ごめんね。うん、嫌だって言ってた。でもラティークに知らせてくれたんだね」
緑の虎を抱いて、アイラは扉を見詰めた。
(求めていた結果があるかも知れない。それなのに、あたしには、何も出来ない……真実を知ることすら出来なかった……)
悔しさを噛み締めるアイラの前で、散らばった闇の精霊のカスがまた集まって扉に張り
付き、アイラに向かって上半身を持ち上げている。
(これも契約しているのだろうか。惨めな契約……ううん、惨めは、あたしか……)
『来るなら、来やがれ、このアマ! 今度は全員でやっちまうぞ!』
半グレ毛虫モドキ集団の精霊を相手にする元気など、もはやなかった。
まだ、震えているシハーヴを抱いたまま、ゆっくりと階段を上がる。途中にラティーク
のランプがぽつんと置いてあった。
「役目は果たした! もう帰りたい! こんなとこ、二度と、来んな!」
シハーヴは直ぐさまランプに飛び込み、蓋を硬く閉めてしまった。
「ありがとう。無茶して、ごめんなさい。ラティークにも、言うね」
魔力で封印された開かずのランプを抱え、外に出ると、眩しい夕陽が靜かに砂漠の王国を照らしていた。
「このやろ、ここにいたか!」
とばかりに張り付いて、爪にチクチクと嫌がらせをしてきた。よくみると、毛虫とは違う。
シハーヴはくるんと宙返りして、虎に戻ると、アイラの腕に向かって飛び込んできた。
小刻みに揺れた毛並みの丸くなった背中を、アイラはそっと撫でた。
「ごめんね。うん、嫌だって言ってた。でもラティークに知らせてくれたんだね」
緑の虎を抱いて、アイラは扉を見詰めた。
(求めていた結果があるかも知れない。それなのに、あたしには、何も出来ない……真実を知ることすら出来なかった……)
悔しさを噛み締めるアイラの前で、散らばった闇の精霊のカスがまた集まって扉に張り
付き、アイラに向かって上半身を持ち上げている。
(これも契約しているのだろうか。惨めな契約……ううん、惨めは、あたしか……)
『来るなら、来やがれ、このアマ! 今度は全員でやっちまうぞ!』
半グレ毛虫モドキ集団の精霊を相手にする元気など、もはやなかった。
まだ、震えているシハーヴを抱いたまま、ゆっくりと階段を上がる。途中にラティーク
のランプがぽつんと置いてあった。
「役目は果たした! もう帰りたい! こんなとこ、二度と、来んな!」
シハーヴは直ぐさまランプに飛び込み、蓋を硬く閉めてしまった。
「ありがとう。無茶して、ごめんなさい。ラティークにも、言うね」
魔力で封印された開かずのランプを抱え、外に出ると、眩しい夕陽が靜かに砂漠の王国を照らしていた。