ラヴィアン王国物語
 ☆★☆


「話は分かった。まずは親友のほうから行こう」

 第一宮殿、ハレム開始より数時間前。ラティークを主とする第二宮殿。話が話なのでラティークはハレムの皆様にご遠慮願い、アイラだけを呼び寄せたところだった。
 またしっかり勘違いした表情をしているアイラの疑いの視線がチクチク刺さる。


 ——まあ、いい。約束は果たそう。危なっかしくて眼を離せないばかりに、協力するの一言を口にしたのだから。


「では、親友の特徴を教えてくれるか、アイラ」
 アイラははっと表情を変え、本題を思い出してあたふたしたあと、む、と胸を張った。

 余所事を仕舞い込んだ様子だ。出逢った時から思っていたが、至極顔に出やすい。

「背が高くて、水色の綺麗な髪をしてて、目が大きいの。しなやかな感じ。あ、胸も結構ある。喋りに特徴があって、かっこいい、かな」

 好みではない。そもそも、女性なら、どんな格好していても可愛いものだろ。

「残念。僕は肉っぽい女性より、細身の、眼が吊り上がってる勝ち気な娘がいい。一度でイイから、思い切りおシリを」

 苦虫を噛み潰した顔のアイラとばっちり視線があって、ラティークは説明を止めた。




(今、気付いた。アイラはまさに僕の好みのど真ん中か!)

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