ハルアトスの姫君ー龍の王と六人の獣ー
「しゃ、喋った…龍、が?」
「案外冷静やなー姫さんは。そういうところも、まぁー悪くない。」
衛兵たちが集まり、ジアの前に立ちはだかる。
「そんな剣や槍程度で、オレの鱗に勝てるって本気で思ってる?」
龍は天井に向かって口を開いた。
「伏せろ!」
キースはありったけの声を出す。炎を吐く、と予感したからだった。
予感は的中し、ごうごうと炎が噴き出していく。天井は真っ黒になり、今にも崩れそうだ。
(…風の魔法が使えれば、間に合う。)
多くの民が伏せているとはいえ、煙もそんなになく、視界は良好だ。この中で魔法を使えばばれてしまう。記憶を操作する人間が多すぎる。
(…どうする?衛兵たちの士気は完全に下がっている。)
国王、女王ともにジアよりも奥に下がっている。ミアにはクロハがいる。丸腰なのはジアだけだ。
「怪我しとーなかったら、そこどきぃ。」
キースは走り出した。その音に気付いた龍が牙を向ける。
「さっきのしょーもないやつやんか。動くな!」
それと同時に炎がキースの身体を捉えた。魔法があれば避けられるものの、この短い時間で呪文を唱えることもできない。ただの風の魔法では炎を増幅させるだけだ。
「っ…!」
「キース!」
「ほぉ~知り合いか。フォーン、あいつ縛っとき。」
「りょーかい!」
「やめて!」
オレンジ色の髪が近付いてくるのがキースのぼやけた視界でもわかった。それよりも、広間に響くジアの声が耳に刺さる。
「目的は私でしょう?これ以上ここを壊すことも、人を傷つけることも許さない。」
「随分肝の据わった王女様やな~!噂以上や!大人しくついてくる気になったんか?」
「ええ。」
「んだよ~ランだけ暴れやがって。俺はこの優男縛って終わり~?」
「手を離しなさい!」
ジアの鋭い声が飛んだ。
「ここは私の国よ。この土地にも、ここに住む人にも手出しはさせない。」
「フォーン、手、放したってぇな。姫さん、乗りぃ。」
「案外冷静やなー姫さんは。そういうところも、まぁー悪くない。」
衛兵たちが集まり、ジアの前に立ちはだかる。
「そんな剣や槍程度で、オレの鱗に勝てるって本気で思ってる?」
龍は天井に向かって口を開いた。
「伏せろ!」
キースはありったけの声を出す。炎を吐く、と予感したからだった。
予感は的中し、ごうごうと炎が噴き出していく。天井は真っ黒になり、今にも崩れそうだ。
(…風の魔法が使えれば、間に合う。)
多くの民が伏せているとはいえ、煙もそんなになく、視界は良好だ。この中で魔法を使えばばれてしまう。記憶を操作する人間が多すぎる。
(…どうする?衛兵たちの士気は完全に下がっている。)
国王、女王ともにジアよりも奥に下がっている。ミアにはクロハがいる。丸腰なのはジアだけだ。
「怪我しとーなかったら、そこどきぃ。」
キースは走り出した。その音に気付いた龍が牙を向ける。
「さっきのしょーもないやつやんか。動くな!」
それと同時に炎がキースの身体を捉えた。魔法があれば避けられるものの、この短い時間で呪文を唱えることもできない。ただの風の魔法では炎を増幅させるだけだ。
「っ…!」
「キース!」
「ほぉ~知り合いか。フォーン、あいつ縛っとき。」
「りょーかい!」
「やめて!」
オレンジ色の髪が近付いてくるのがキースのぼやけた視界でもわかった。それよりも、広間に響くジアの声が耳に刺さる。
「目的は私でしょう?これ以上ここを壊すことも、人を傷つけることも許さない。」
「随分肝の据わった王女様やな~!噂以上や!大人しくついてくる気になったんか?」
「ええ。」
「んだよ~ランだけ暴れやがって。俺はこの優男縛って終わり~?」
「手を離しなさい!」
ジアの鋭い声が飛んだ。
「ここは私の国よ。この土地にも、ここに住む人にも手出しはさせない。」
「フォーン、手、放したってぇな。姫さん、乗りぃ。」