ハルアトスの姫君ー龍の王と六人の獣ー

求められる覚悟

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「キース様…？」
「ん…。」

　目を開けると、光が差し込んできた。視界がぼやけつつも、思考がはっきりしてくる。

「ジア！っ…！」
「なーに勢いだけで起き上がってんだよ。さすがの治癒力をもってしても、起き上がんのでギリだぞ、お前。」
「…どのくらい、時間経った？」
「お前が気ぃ失ってたのは3時間ってとこだ。ミアの治癒の魔法、やけどに効く薬の使用、お前の魔力ゆえの回復力をもってしても3時間もかかる大怪我だ。」
「…ありがとう。クロハ、ミア。」

　キースは痛む腹をさすりながら礼を言う。

「特にミアには感謝しろよ。3時間、ずっと魔力を送ってた。」
「…ミア、疲れはない？」
「大丈夫ですよ。私もかなり使いこなせるようになってきたんです。治癒、だけですけど。」
「治癒だけでいいんだよ。治癒は高度なんだから。それにしても…。」

　去り際のジアの顔を思い出す。泣きそうに見えたのは、自分だけだったのか。

「…ジアを迎えに行かないと。」
「場所はわかっているのかね？」
「お父様！」
「…国王…陛下…。お見苦しい姿で申し訳ありません。」

　キースは火傷の症状がひどかった上半身は裸に包帯を巻いた状態になっていた。

「いや、むしろあの場で本気で娘を助けようとしていたのは君だけだった。感謝しているよ。」
「キースくん…怪我の具合は？」
「もう大丈夫です。」
「どこがだよ！つかお前、いつもより回復が遅いんだけどなんかに魔力使ってんのか？」
「…鋭さに磨きかかってない？」

　最近は大きな怪我もしていないし、王城に運ばれることやクロハに診てもらうことなどなかったはずだ。それでこの記憶力。魔力量でも測られているのかという気になってくる。