ハルアトスの姫君ー龍の王と六人の獣ー
飛んでいた鳥たちが何羽か戻ってきた。嘴に加えていた薬草らしきものや、木の実、果物などをかごに分けていく。
すると、一羽の鳥が人間の身体に戻った。
「わぁ!」
「す、すみません!驚かせてしまって!」
ジアよりも少し若い少年が、深く頭を下げた。
「あ、ごめんなさいね、びっくりしたの。初めて鳥の姿も見せてもらったし、鳥から人間に戻るところも初めてだったので。こんなにあっさり変わるのね。」
「…僕は、長い時間飛べないんです。それに一人だとなかなか鳥の姿もとれなくて…。」
ジアはそっと、彼の隣に立った。俯いたままの姿が自分に重なって見える。
「…あたしは鳥にはなれないけれど、ちょっと引け目を感じる気持ちならわかる気がするわ。」
「え…?でも、王女様なのにどうして…。」
「王女という名前だけもらっても意味がないのよ。ちゃんとその名に見合うことができなければ。あなたもきっと、そこに悩んでいるのかなって思っているんだけど。鳥族なのに、思っているよりも飛べない自分。あたしも同じよ。王族なのに、何も変えられない自分。…結構辛いよね。」
自嘲気味に、ジアはそう言った。どんどん差が開いていく自分も追加、と心の中だけで呟いておく。
「王女様でもそんなこと…。」
「王女の前に、あたしは一人の人間なのよ。…とはいっても、ただの人間ってわけでもないんだけど。でも、ここはいいわね。誰でも、できることで誰かの役に立っていく。あなたも、飛ぶ以外に得意なことが伸びていくのよね、きっと。ここはそういう場所な気がする。」
ふと、最後に見たキースの姿を思い出す。酷い火傷に泣きそうになった自分は、ちゃんと隠せていただろうか。火傷は治っているのだろうか。
すると、一羽の鳥が人間の身体に戻った。
「わぁ!」
「す、すみません!驚かせてしまって!」
ジアよりも少し若い少年が、深く頭を下げた。
「あ、ごめんなさいね、びっくりしたの。初めて鳥の姿も見せてもらったし、鳥から人間に戻るところも初めてだったので。こんなにあっさり変わるのね。」
「…僕は、長い時間飛べないんです。それに一人だとなかなか鳥の姿もとれなくて…。」
ジアはそっと、彼の隣に立った。俯いたままの姿が自分に重なって見える。
「…あたしは鳥にはなれないけれど、ちょっと引け目を感じる気持ちならわかる気がするわ。」
「え…?でも、王女様なのにどうして…。」
「王女という名前だけもらっても意味がないのよ。ちゃんとその名に見合うことができなければ。あなたもきっと、そこに悩んでいるのかなって思っているんだけど。鳥族なのに、思っているよりも飛べない自分。あたしも同じよ。王族なのに、何も変えられない自分。…結構辛いよね。」
自嘲気味に、ジアはそう言った。どんどん差が開いていく自分も追加、と心の中だけで呟いておく。
「王女様でもそんなこと…。」
「王女の前に、あたしは一人の人間なのよ。…とはいっても、ただの人間ってわけでもないんだけど。でも、ここはいいわね。誰でも、できることで誰かの役に立っていく。あなたも、飛ぶ以外に得意なことが伸びていくのよね、きっと。ここはそういう場所な気がする。」
ふと、最後に見たキースの姿を思い出す。酷い火傷に泣きそうになった自分は、ちゃんと隠せていただろうか。火傷は治っているのだろうか。