ハルアトスの姫君ー龍の王と六人の獣ー
「…ハルアトスは、とある一人の魔女の手によって、壊滅寸前まで追い込まれてしまった場所なの。」
「その時、ジア様はどちらへ…?」
「あたしはその時、自分が王族の人間だとは知らなかったの。」
「…どういうことだ?」
ウルアが怪訝そうな表情でジアを見つめた。
「あたしは普通の人間として育った。満月の日、猫になる呪い。満月以外の日は双子の妹が猫になってしまう。あとでわかったことだけど、2人で呪いをわけていたらしいの。今はあたしの目、両目とも同じ色だけれど、呪いを受けている間は片目、銀だったのよ。」
「動物の姿に変わることが…呪い?」
「アスピリオのみんなみたいに、自由意志で変えることができるならきっとそれは呪いじゃないわ。でも、あたしたちの場合はそうじゃなかった。その呪いを解くために、ハルアトス城を訪れたわ。そこで出会ったのよ、魔女に。味方の魔女もいたんだけどね。今となってはもう…その魔女はいないのだけど、でも、ハルアトスの国民の心に強く刻まれてしまったわ。魔法使いが、戦争を起こした、と。父と母の意識は魔女に乗っ取られてしまって、機能していなかった。多くの人が、理由もなく戦地に駆り出され、ハルアトス自体もそうだけれど、近隣の土地も全て…荒廃させてしまった。」
2人の顔が沈んでいくのがわかっていた。それでも、おそらく伝えなくてはならないことだと思い、ジアは再び口を開いた。
「たった一人の魔女の力だけで、何人もの運命を歪ませた。多くの人を絶望させ、苦しませ…その苦しみは完全に癒えることは…もしかしたらないかもしれない。それまでは、ずっと交わらずにあろうとした、人間の世界と魔法使いの世界が交わったことによって、…良くないことが起きた。そして、中途半端に人間が知ってしまった。魔法使いという存在。」
ただの、脅威として。
「その時、ジア様はどちらへ…?」
「あたしはその時、自分が王族の人間だとは知らなかったの。」
「…どういうことだ?」
ウルアが怪訝そうな表情でジアを見つめた。
「あたしは普通の人間として育った。満月の日、猫になる呪い。満月以外の日は双子の妹が猫になってしまう。あとでわかったことだけど、2人で呪いをわけていたらしいの。今はあたしの目、両目とも同じ色だけれど、呪いを受けている間は片目、銀だったのよ。」
「動物の姿に変わることが…呪い?」
「アスピリオのみんなみたいに、自由意志で変えることができるならきっとそれは呪いじゃないわ。でも、あたしたちの場合はそうじゃなかった。その呪いを解くために、ハルアトス城を訪れたわ。そこで出会ったのよ、魔女に。味方の魔女もいたんだけどね。今となってはもう…その魔女はいないのだけど、でも、ハルアトスの国民の心に強く刻まれてしまったわ。魔法使いが、戦争を起こした、と。父と母の意識は魔女に乗っ取られてしまって、機能していなかった。多くの人が、理由もなく戦地に駆り出され、ハルアトス自体もそうだけれど、近隣の土地も全て…荒廃させてしまった。」
2人の顔が沈んでいくのがわかっていた。それでも、おそらく伝えなくてはならないことだと思い、ジアは再び口を開いた。
「たった一人の魔女の力だけで、何人もの運命を歪ませた。多くの人を絶望させ、苦しませ…その苦しみは完全に癒えることは…もしかしたらないかもしれない。それまでは、ずっと交わらずにあろうとした、人間の世界と魔法使いの世界が交わったことによって、…良くないことが起きた。そして、中途半端に人間が知ってしまった。魔法使いという存在。」
ただの、脅威として。