ハルアトスの姫君ー龍の王と六人の獣ー
「やめろ、何をする！」
「うっ…。」
「なんだこれ…力…入らな…。」
「ホルブー！木の上から3人落とすから受け取れよ～！」
「任された！」
「…どういう…こと…？」
「下、見てみぃ。姫さんのお友達やろ？」

　ホルブと呼ばれた筋肉質な男のところに上から見慣れた髪の色の人が落とされてはキャッチされていく。最後に落ちてきたのは…。

「キース！」
「ジア…。」

　ホルブがキースの髪を引っ張り、顔を上げさせた。外傷があるようには見えないが、身体の様子がおかしい。

「シュリ！シャリアス！」
「シャリアスとキースに何をしたのだ。」
「麻痺薬を刺したんだよ。よけーなことしてもらっちゃ困るからね～。」

　ヒヒっと声を上げてフォーンが笑う。

「おねーさんには手荒なことしないよ。だからボクが手際よくきゅっきゅーと縛ったの。」
「お姉さんと呼ばれるような年齢ではないが、まぁ、手際は良かったな。」
「シュリは何もされてないの？」
「ああ。さすが獣との混血とあって気配が人のものではないからわからなかったよ。特に闇夜に紛れるのは魔女よりも人間よりも獣が何枚も上手であろう。」
「お前…何者だ？」

　ランが木から飛び降りてシュリの前に立つ。ジアもゆっくりと木から降りた。
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