ハルアトスの姫君ー龍の王と六人の獣ー
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 空き部屋に無理矢理放り込まれる。ホルブが馬の形を解いた。

「…なるほど、ここは皆が皆、身体を変えることができるのだな。」

ウルアは頷いた。

「ホルブ。俺とガイが監視だ。疲れただろう、よく休め。」
「ありがとな、ウルア。んじゃ、遠慮なく。」

 部屋の中にはベッドが一つと小さなテーブルと椅子がそれぞれ一つずつしかない。ベッドの上に投げられたキースとシャリアスはまだ動かない。

「ホルブは行ったか?」
「おそらくな。俺は少しここの周りを見てくる。」
「頼む。」

 ウルアは部屋を後にした。残されたガイはシュリの前で膝をつく。

「…手荒な真似をして申し訳ない。」
「あの横暴な龍の下にいるようで、そうでもない者もいた、というわけか。」
「説明いたします。ただ、少しお待ちください。ウルアが周辺に他の者がいないか調べてからになります。」
「もちろんだ。だが、私が勝手に一人で話すのは構わないな?」
「はい。」

 シュリは妖艶に微笑むと、キースとシャリアスを見やる。

「お前たち、麻痺状態はどの程度残っている?」
「僕はほぼ残ってないけど、キースは?」
「何もないですね。突然抜けました。」
「わかる!突然なくなったね、この麻痺性。」

 麻痺していたので、特に縄で縛られるわけでもなかった二人はベッドから立ち上がった。丁度その時、部屋のドアが開いた。

「…な、なんでもう立って…。」
「あ…あー…すみません。驚かせて。」
「いや…お前たち一体…。」
「我々は魔力を有する者だ。」
「魔力…?」
「その様子から察するに、お前たちが獣へと姿を変えるのは魔力所以のものではないのだな。」

 ガイが驚きながらも口を開いた。

「…まずは状況を整理しましょう。ウルア、周囲の様子は?」
「俺たちだけだ。ここはランの信頼に感謝しよう。」
「では、ようやくきちんと話せます。」
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