ハルアトスの姫君ー龍の王と六人の獣ー
― ― ― ― ― 

「おかえり!」
「うん。ただいま。」
「まーったく姫さんはオレのことよーそんなに無視できるなぁ。」
「無視なんかしてないよ?ランもおかえり。」
「はぁー…羨ましいで、ほんまに。」

 宴の席にキースとランが戻ってきた。二人とも穏やかな表情を浮かべていて、ジアはほっとする。

「ラン!探したぞ。」
「もう動いてへーきなの?」
「あったりまえやろ、こんなかわいい子が手当てしてくれたんやから。」
「えっ!?」

 突然肩を抱かれたミアを見つめるクロハの顔が一気に険しくなる。

「なー?」
「てっ…手当はしましたが、あの、私には…!」

 クロハはミアの手を引く。

「お?」
「ミアはおれの。お前、ジアに振られたばっかじゃねーのかよ。」
「ほぉーなるほどなぁ、みんな難儀な恋愛しとるっちゅーわけか。まーオレは恋愛なんてしとる場合じゃないねんけどなー。」

 クロハの言葉に顔を真っ赤にするミア。それに気付いたキースとジアは小さく笑う。

「ラン、いい加減にしてください。ほら、あなたが元気になったことを伝えて。」
「おー。」

 シラに促されてランがみんなの前に立つ。

「あー…みんな、今回はめちゃくちゃ迷惑かけてすまんかった。誰にも怪我がなくてよかった。オレもこの通り元気や。ゆーてもしばらくは飛べそうにあらへんけど、それもしゃーない。そして、遠い国ハルアトスから来てくれた、ちゅーか、ほんまはオレがさらってきた姫さんと、その恋人と、あとは有能な魔法使いに妹さん、とその恋人や。」
「なっ…!」
「雑な説明だな、私達は。」
「おっまえなぁ!」

 紹介された側としてはたまったもんじゃない。が、そんなことは全く気にせず、ランは言葉を続けた。
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