ハルアトスの姫君ー龍の王と六人の獣ー
「協力者であり、理解者でもある。そして、歯止めであり、背を押すものでもある。」
「……。」
6人は食い入るようにシュリを見つめている。
「今回そなたたちは、理解者であろうとした。だが、歯止めではあれなかった。王だけに背負わせてはならん。王は孤独になる。王を孤独にさせるな。独裁者は破壊しか生まない。それは我々が得た教訓でもある。王と共に歩むものであれ。」
「…ランの暴走は、俺たちが食い止めます。」
「悪かったな、優男。」
「シュリさん、ごめんねー縛っちゃって。」
「過ちは、繰り返すな。そうでしか、進めない。また会おう、その身体の仕組みを私は研究したいのだ。」
「ひっ…!」
「解剖される…!?」
フォーンとラビの顔がひきつった。そんな二人を見てシュリは妖艶に口角を上げた。
「そんなことするはずなかろう。」
「ねーガイくん。」
「はい。」
「君たちだけじゃないんだよね、族長ってのは。」
「はい。でもランが、俺たちの立ち位置を作ったんです。歴代の龍族の長は一人でまとめていたけど、自分が間違ったときが怖いから、と。」
「なーるほど。じゃあ、それこそ君たちは王の信頼に応えるために選ばれたんだね。」
「…そうなりますね。」
「6人の相棒がいるランは幸せ者だ。」
シャリアスがそう言って微笑む。それに合わせて、ガイも少しだけ微笑んだ。
「うかうかしてたら、オレもらいに行くで?」
「…だから、俺の話聞いてた?」
「2人で何の話?」
「内緒。」
「内緒や!」
「えー!なんで同じこと言うの!いいもん、帰りにキースに聞くから!」
「さぁ、行くぞ、キース、シャリアス、準備を。」
風が強く吹く、この夜は3人にとって一番負担なく長距離を飛ぶことができる絶好の条件が揃っているらしい。3人が風を呼び集める。
「ミア、こちらへ。」
「はいっ!」
「嫌だろうけど、クロハ。」
「別に嫌じゃねーよ。」
「ジア。」
「うん。」
すっと差し出された手を、前よりもずっと真っ直ぐに取れるようになった気がする。
「またね、みんな!」
「おう、元気になー!」
ふわりと身体が浮く。アスピリオが遠く小さくなっていくのをジアはいつまでも見つめていた。
「……。」
6人は食い入るようにシュリを見つめている。
「今回そなたたちは、理解者であろうとした。だが、歯止めではあれなかった。王だけに背負わせてはならん。王は孤独になる。王を孤独にさせるな。独裁者は破壊しか生まない。それは我々が得た教訓でもある。王と共に歩むものであれ。」
「…ランの暴走は、俺たちが食い止めます。」
「悪かったな、優男。」
「シュリさん、ごめんねー縛っちゃって。」
「過ちは、繰り返すな。そうでしか、進めない。また会おう、その身体の仕組みを私は研究したいのだ。」
「ひっ…!」
「解剖される…!?」
フォーンとラビの顔がひきつった。そんな二人を見てシュリは妖艶に口角を上げた。
「そんなことするはずなかろう。」
「ねーガイくん。」
「はい。」
「君たちだけじゃないんだよね、族長ってのは。」
「はい。でもランが、俺たちの立ち位置を作ったんです。歴代の龍族の長は一人でまとめていたけど、自分が間違ったときが怖いから、と。」
「なーるほど。じゃあ、それこそ君たちは王の信頼に応えるために選ばれたんだね。」
「…そうなりますね。」
「6人の相棒がいるランは幸せ者だ。」
シャリアスがそう言って微笑む。それに合わせて、ガイも少しだけ微笑んだ。
「うかうかしてたら、オレもらいに行くで?」
「…だから、俺の話聞いてた?」
「2人で何の話?」
「内緒。」
「内緒や!」
「えー!なんで同じこと言うの!いいもん、帰りにキースに聞くから!」
「さぁ、行くぞ、キース、シャリアス、準備を。」
風が強く吹く、この夜は3人にとって一番負担なく長距離を飛ぶことができる絶好の条件が揃っているらしい。3人が風を呼び集める。
「ミア、こちらへ。」
「はいっ!」
「嫌だろうけど、クロハ。」
「別に嫌じゃねーよ。」
「ジア。」
「うん。」
すっと差し出された手を、前よりもずっと真っ直ぐに取れるようになった気がする。
「またね、みんな!」
「おう、元気になー!」
ふわりと身体が浮く。アスピリオが遠く小さくなっていくのをジアはいつまでも見つめていた。