ハルアトスの姫君ー龍の王と六人の獣ー
― ― ― ― ―
「ジア!無事だったのね…!」
「ジア…!」
ジアに駆け寄り、ジアを二人が抱きしめる。そんな姿を見ることができて、それがただただキースには嬉しかった。
「ご心配おかけしました。怪我もなく、元気です。」
「皆は…大丈夫なのかい?」
国王がキースたちを見つめる。
「大丈夫です。」
「問題ない。少々疲れた、というだけのこと。クロハは3日ほど休みたいそうだ。」
「おい、シュリ!」
「もちろんです。ゆっくり休んでください。この度は、本当にありがとうございました。シュリ殿、シャリアス殿、クロハ、ゆっくりしていっていただきたい。ミア、案内をしてくれないか?皆さん、」
「もちろんですわ。ではこちらへ。」
4人がいなくなった部屋。国王はキースの方に向き直る。
「キース、君は私に言いたいことがありそうだね。」
にっこりと微笑みながらそう言う国王に、キースは一歩踏み出して口を開いた。
「…今回、私を信用し、ジアを救出しに向かわせていただき、ありがとうございました。」
「君なら連れて帰ってきてくれると思っていたよ。」
「…ずっと、陛下の言葉を反芻して、答えを出すことができました。」
「キース…?」
名を呼ばれ、ジアの方を見て笑みを返す。
「私の未来は、ここにあります。もてる全てで、役に立ってみせます。ジアの願いが、人と魔法使いの共生であるならば、…私は魔法が使える者として共に生きる未来のためにできることをします。それが私の覚悟です。」
「…ジアのためだけじゃ、ないね?」
「え?」
「ジアのためだけに生きる、と決めたのならば、それは応援できない。」
国王はキースに柔らかい眼差しを向ける。
「ジアの隣にいるのを選んでくれたことは、とても嬉しく思っているよ。でも、それは…。」
「…自分のためですよ。どう考えたって、ジアのためなんて言えないです。もう嫌です。あんな風に目の前でジアを奪われることも、守れないことも。自分が、幸せを感じるために、幸せだと思える未来のために、ジアの隣にいたいです。」
キースがそう言い終えると、国王はキースに片手を差し出した。
「ありがとう。」
「色々と、情けなくて遅くなって、すみません。」
握った手を離し、ポンポンと肩を軽く叩きながら、国王は優しく微笑んだ。
「君の境遇のことはジアから聞いて知っていたよ。だからこそ、待っていた。君が戻ってきてすぐに話を聞くのは、まだできないと思っていたからね。随分いい顔になったよ。最初から優しい表情ではあったけれど、時折とても寂しそうだったから。」
「陛…下…。」
「ジア!無事だったのね…!」
「ジア…!」
ジアに駆け寄り、ジアを二人が抱きしめる。そんな姿を見ることができて、それがただただキースには嬉しかった。
「ご心配おかけしました。怪我もなく、元気です。」
「皆は…大丈夫なのかい?」
国王がキースたちを見つめる。
「大丈夫です。」
「問題ない。少々疲れた、というだけのこと。クロハは3日ほど休みたいそうだ。」
「おい、シュリ!」
「もちろんです。ゆっくり休んでください。この度は、本当にありがとうございました。シュリ殿、シャリアス殿、クロハ、ゆっくりしていっていただきたい。ミア、案内をしてくれないか?皆さん、」
「もちろんですわ。ではこちらへ。」
4人がいなくなった部屋。国王はキースの方に向き直る。
「キース、君は私に言いたいことがありそうだね。」
にっこりと微笑みながらそう言う国王に、キースは一歩踏み出して口を開いた。
「…今回、私を信用し、ジアを救出しに向かわせていただき、ありがとうございました。」
「君なら連れて帰ってきてくれると思っていたよ。」
「…ずっと、陛下の言葉を反芻して、答えを出すことができました。」
「キース…?」
名を呼ばれ、ジアの方を見て笑みを返す。
「私の未来は、ここにあります。もてる全てで、役に立ってみせます。ジアの願いが、人と魔法使いの共生であるならば、…私は魔法が使える者として共に生きる未来のためにできることをします。それが私の覚悟です。」
「…ジアのためだけじゃ、ないね?」
「え?」
「ジアのためだけに生きる、と決めたのならば、それは応援できない。」
国王はキースに柔らかい眼差しを向ける。
「ジアの隣にいるのを選んでくれたことは、とても嬉しく思っているよ。でも、それは…。」
「…自分のためですよ。どう考えたって、ジアのためなんて言えないです。もう嫌です。あんな風に目の前でジアを奪われることも、守れないことも。自分が、幸せを感じるために、幸せだと思える未来のために、ジアの隣にいたいです。」
キースがそう言い終えると、国王はキースに片手を差し出した。
「ありがとう。」
「色々と、情けなくて遅くなって、すみません。」
握った手を離し、ポンポンと肩を軽く叩きながら、国王は優しく微笑んだ。
「君の境遇のことはジアから聞いて知っていたよ。だからこそ、待っていた。君が戻ってきてすぐに話を聞くのは、まだできないと思っていたからね。随分いい顔になったよ。最初から優しい表情ではあったけれど、時折とても寂しそうだったから。」
「陛…下…。」