ハルアトスの姫君ー龍の王と六人の獣ー
「っと…うわ。」
「わぁ!」
バランスを崩したキースはジアを抱きしめたまま草の上に寝転んだ。
「キース、大丈夫?ごめん重くて!」
「全然?もうちょっとつかまえたままでいさせて。」
「えっ!?いやあの…。」
「…ちょっと休憩。あと、充電。」
「で、電気あるの?」
「はは、違うよ。俺が充電するの。」
「へっ!?」
キースはジアを抱きしめる腕に力を込めた。
「う、キース…?」
「ジアの目指すところに、近付くための手伝い、ちゃんとできてる?」
「で、できてるよ!ミアの治癒の魔法も評判がいいみたいだし、あたしもどんどん新しい魔法が使えるようになってるし。城の人たちも全員じゃないけど、キースのこと、わかってくれる人が増えてきたし…。」
「じゃあいい。…それで、ジアは幸せ?」
少しだけ腕の力を緩め、キースはジアの顔を見つめた。
「もちろん!幸せだよ。」
その笑顔に胸がいっぱいになる。距離を詰め、そっと唇を重ねる。春の匂いが二人を包む。
「…幸せだよ、俺も。」
「ほんと?」
「ほんと。今が一番、幸せだよ。」
乗り越えなければならないことがたくさんある。それでも確実に進むための準備ができていて、進んでいるところもあると感じられる。それが嬉しくて、幸せだと思える。
キースの手が、ジアの後頭部を撫でる。するとジアは嬉しそうに笑った。
「キースの手が近くにあって、嬉しいの。近くにいてくれれば、いろんなことに気付けるから。…辛い時も、寂しい時も、手、繋いでてね。」
「うん。」
キースの左手がジアの右手を握る。そしてそっと、口付けを落とす。
「未来を見るよ、一緒にね。」
ゆっくりと起き上がり、自然と手を繋ぐ。
こんな風に歩いて行きたい、そんな気持ちを込めてジアは少しだけ力を強くする。
「ん?」
「未来、創ろうね。一緒に。」
「うん。」
手を繋ぐ二人の背に、優しく春の風が吹いた。
*fin*
「わぁ!」
バランスを崩したキースはジアを抱きしめたまま草の上に寝転んだ。
「キース、大丈夫?ごめん重くて!」
「全然?もうちょっとつかまえたままでいさせて。」
「えっ!?いやあの…。」
「…ちょっと休憩。あと、充電。」
「で、電気あるの?」
「はは、違うよ。俺が充電するの。」
「へっ!?」
キースはジアを抱きしめる腕に力を込めた。
「う、キース…?」
「ジアの目指すところに、近付くための手伝い、ちゃんとできてる?」
「で、できてるよ!ミアの治癒の魔法も評判がいいみたいだし、あたしもどんどん新しい魔法が使えるようになってるし。城の人たちも全員じゃないけど、キースのこと、わかってくれる人が増えてきたし…。」
「じゃあいい。…それで、ジアは幸せ?」
少しだけ腕の力を緩め、キースはジアの顔を見つめた。
「もちろん!幸せだよ。」
その笑顔に胸がいっぱいになる。距離を詰め、そっと唇を重ねる。春の匂いが二人を包む。
「…幸せだよ、俺も。」
「ほんと?」
「ほんと。今が一番、幸せだよ。」
乗り越えなければならないことがたくさんある。それでも確実に進むための準備ができていて、進んでいるところもあると感じられる。それが嬉しくて、幸せだと思える。
キースの手が、ジアの後頭部を撫でる。するとジアは嬉しそうに笑った。
「キースの手が近くにあって、嬉しいの。近くにいてくれれば、いろんなことに気付けるから。…辛い時も、寂しい時も、手、繋いでてね。」
「うん。」
キースの左手がジアの右手を握る。そしてそっと、口付けを落とす。
「未来を見るよ、一緒にね。」
ゆっくりと起き上がり、自然と手を繋ぐ。
こんな風に歩いて行きたい、そんな気持ちを込めてジアは少しだけ力を強くする。
「ん?」
「未来、創ろうね。一緒に。」
「うん。」
手を繋ぐ二人の背に、優しく春の風が吹いた。
*fin*