ハルアトスの姫君ー龍の王と六人の獣ー
スノードーム
* * *
寒さ厳しい冬の朝。キースの部屋のドアは強くノックされた。
「キースっ!」
「ん…。」
「あたし!外に出ない?」
「…ジア…?」
寝ぼけ眼を擦りながら、キースはマントを羽織った。
「ジアがこんなに早く起きているなんて珍しいね。何かあった?」
「早く、外っ!」
「ジア?」
こんなに強引なジアは少し珍しい。想いが通じ合ったものの、キースの方から距離を詰めれば、当然のように赤く頬を染めるジアが通常運転なのに、今日のジアは自分から手を引き、ぐいぐいと引っ張っている。
外に通じるドアを開けると、冷たい空気が頬を刺した。
「寒っ!」
「雪…。」
はらはらと舞い落ちる白い粒が、ジアの頬に触れて溶けていく。吐く息は白く染まり、それが余計に寒さを強調した。
「ハルアトスにこんなに雪が降るなんて珍しいよね!朝いつもよりも早く目覚めたのはこれを見せるためだったんだって納得しちゃった!」
「…寒かったから、じゃないところがジアっぽくて面白い。」
「面白い!?」
寒さによって、頬がりんごのように赤く染まってしまっている。幸い、繋がれた手はそのままで、きゅっと強く握り返しても目の前のジアはキースに目もくれず、絶え間なく落ちてくる雪の結晶を見つめていた。
「…少しだけ、魔法を使ってもいいかな、城内だけど。」
「え?魔法、見せてくれるの?」
「…そんなに凄いものじゃないけど。」
そう言うと、キースは小さく息を吐いた。空に向かって手をかざし、呪文を唱える。すると、半円がキースとジアを大きく囲った。
「え…なにこれ…膜…?」
「そうだね、膜よりは強いものだけど。それともう一つ。フォールグロウ。」
キースの指先からふわり、ふわりと小さな灯りが浮かび上がる。ただの灯りというわけではなく、近付くとほんのりと温かい。
「っ…くしゅ!」
「ジアが薄着だったからね。この空間を作ったんだよ。」
そう言ってキースは微笑んだ。
寒さ厳しい冬の朝。キースの部屋のドアは強くノックされた。
「キースっ!」
「ん…。」
「あたし!外に出ない?」
「…ジア…?」
寝ぼけ眼を擦りながら、キースはマントを羽織った。
「ジアがこんなに早く起きているなんて珍しいね。何かあった?」
「早く、外っ!」
「ジア?」
こんなに強引なジアは少し珍しい。想いが通じ合ったものの、キースの方から距離を詰めれば、当然のように赤く頬を染めるジアが通常運転なのに、今日のジアは自分から手を引き、ぐいぐいと引っ張っている。
外に通じるドアを開けると、冷たい空気が頬を刺した。
「寒っ!」
「雪…。」
はらはらと舞い落ちる白い粒が、ジアの頬に触れて溶けていく。吐く息は白く染まり、それが余計に寒さを強調した。
「ハルアトスにこんなに雪が降るなんて珍しいよね!朝いつもよりも早く目覚めたのはこれを見せるためだったんだって納得しちゃった!」
「…寒かったから、じゃないところがジアっぽくて面白い。」
「面白い!?」
寒さによって、頬がりんごのように赤く染まってしまっている。幸い、繋がれた手はそのままで、きゅっと強く握り返しても目の前のジアはキースに目もくれず、絶え間なく落ちてくる雪の結晶を見つめていた。
「…少しだけ、魔法を使ってもいいかな、城内だけど。」
「え?魔法、見せてくれるの?」
「…そんなに凄いものじゃないけど。」
そう言うと、キースは小さく息を吐いた。空に向かって手をかざし、呪文を唱える。すると、半円がキースとジアを大きく囲った。
「え…なにこれ…膜…?」
「そうだね、膜よりは強いものだけど。それともう一つ。フォールグロウ。」
キースの指先からふわり、ふわりと小さな灯りが浮かび上がる。ただの灯りというわけではなく、近付くとほんのりと温かい。
「っ…くしゅ!」
「ジアが薄着だったからね。この空間を作ったんだよ。」
そう言ってキースは微笑んだ。