忘れもの。
「そーいえばマオと関谷って同じ中学なんだよね!あんま話してるの見た事無いけど!」
ちょ、声がでかいってば!
「あ、あは、まぁね~…何となく?」
何となくって何だよ私!
取り乱しすぎだよ!
もう嫌だ、帰りたい…。
「おっしじゃあ飯も食い終わったし花火しに行くぞーっい!」
「えぇっ!?これで終わりなんじゃないの!?」
クラスでもムードメーカーな男子が言った後に、物凄くKY発言をしてしまった。
し、しまった…
早く帰りたいあまりに…
「馬ー鹿!ちゃんマオはほんと馬鹿!これからだろ★て事でみんなはい外に移動~!!」
ちゃ、ちゃんマオ!?
「お前それ、セクハラな」
ムードメーカーな男子と同じグループの、あの人がそう言う。
「え、セクハラ!?ちゃんマオってセクハラなの!じゃあマオちゃん?」
「お前の場合どっちもセクハラ!」
「はぁ、何でだし~!」
「ハハッ!何となく?ブッ」
その言葉に何の意味も無い事は知ってる。
笑いながら言ってるし、その前に彼女がいるし。
でもそんな事を言われたらさ。
そんな事を好きな人が言ってたらさ。
誰だって、他の男子が私の事下の名前で読んでほしくないのかなぁとか。
少なからず期待しちゃうよ…。