無の王
授業が終わり、再び部室に来ると綾瀬が先に部室に来ており、くつろいでいた。


「先に来ていたのか。二人が来るまで待ってくれな。」


「えっ?授業は終わったはずなのにまだ来ないんですか?」


何故か困った顔をする綾瀬。

もしかして俺と二人っきりが嫌なのか…。俺は全然構わないのに…。


「二人は進学クラスなんだよ。だから五時まで授業なんだ。」


そう言った後、少し沈黙が続く。



だが女子と二人っきりでいる時の雰囲気が耐えられない零は取り敢えず話し掛けてみた。



「さ、さっき購買で買ってきたあんパンとカフェオレ飲むか?

これが零の必殺「食べ物を食わして雰囲気を良くする」だ。


この技をすると相手…特に年下の女の子は先輩に対して好印象持つ…らしい。


「あ…ありがとうございます!」

喜んであんパンとカフェオレを受け取り食べる。


「ついでに今週のチョンプもあるので読んで良いぞ。ちなみに今週から始まった将棋の漫画オススメ。」

零は毎週購読している週刊誌を綾瀬に渡す。


綾瀬は「ありがとうございます!」と喜び、パンを食いながらチョンプを読む。


ちなみにチョンプとは週刊少年誌で大人気の漫画だ。


実は零は漫画が大好きで、学校の休憩時間には週刊誌を読んでいる。





綾瀬に漫画を渡してしばらく時間が経ち、時計を見るともう4時である。

平日の4時からは毎日アニメの再放送をしており、零は「新宇宙年代記ゼロデザイス」を毎日欠かさず見ている。


このアニメはとある宇宙戦艦とその小隊が宇宙の覇者と言われる巨悪と戦いを繰り広げて新しい宇宙の歴史を作る…という物語だ。


第1シリーズと第2シリーズが有り、今度第3シリーズが放送される人気作である。


ちなみに今から観るのは第1シリーズである。



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