無の王
校門で零達四人は別れて帰った。


桜花は家の者が迎えの車で来るらしい。


飛鳥はバスで通学しており、零と逆の方向である。




そして俺は自転車で来たり電車で来たり、その日の気分で通学方法が違う。


今日は電車なので今、最寄りの駅に向かっているのだが後ろから誰かがついて来る。


「センパイも電車通学なんですねっ!帰り道に話し相手がいて助かりましたぁ。」


綾瀬はどうやら電車通学らしい。

どうやら俺と同じ方向みたいである。


「ところでセンパイってどこの中学出身なんですか?」

目を輝かせながら興味津々に聞いてくる綾瀬。

コイツは俺に気があるのか?と思いながら答える。


「名桜中学だ。ちなみに名桜駅から歩いて2分のところに自宅がある。」


零がそういうと綾瀬は「本当ですか!?」とヤケに食い付いてくる。


「あたしは名桜中のお隣の風野中学ですよ。家が近くて嬉しいです!」


これには零もビックリである。

風野中学と言えば私立の名門中学で中高一貫の学校である。


また風野中学から青南や城西、村沢といった公立校に行く人もそれなりにいる。




「驚いたな…。お前勉強出来るんだな…。」


「何言っているんですかっ。村沢に行けるぐらいなんですから頭良いですよ!センパイも滅茶苦茶頭良さそうじゃないですか。」


確かに村沢に入学出来る奴は基本的には頭が良い優等生。


中学の時、5教科で420〜450点取れないと入学は厳しいレベルである。

つまり1科目85点は取れないとダメなのである。

かなり勉強しなきゃ入学は出来ないし、ここ一番の集中力も必要なのである。


だが、零は5教科で200点くらいであった。

しかし、自己推薦入試でなぜか受かるという奇跡を起こしたのであった。



そんな俺をどう見たら頭良く見えるのだろうか…。


「お前なぁ…俺はそんなに勉強出来ないんだが…」


零がそういうと綾瀬が立ち止まる。

「じゃああたし家があそこのコンビニの近くなんでそれじゃあ。」



そう言って綾瀬は零との会話を強制的に終了させて帰っていく。



ちなみにあそこのコンビニは零も家が近いのでよく使う。
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