無の王
次の日、放課後に零はいつもの屋上で寝転がっていた。


飛鳥のクラスの授業が終わるまで昼寝だ。


実は零は今日は6時からバイトである。


5時に授業が終わる飛鳥と少し話しをしたら帰るつもりだ。



零は屋上で涼しい風を浴びながら寝る。





しばらくして寝ている零の顔を「ちょん」と突っついている人が現れた。



突っつかれて目を開けたら、そこには日向飛鳥がいた。


「起こしてごめんなさい。凄く気持ち良さそうに寝ていたから、少しいたずらしたくなっちゃって。」

飛鳥は申し訳なさそうに言うが、いたずらしたくなるとは酷いぜ…。


だが、零は少し笑いながら言う。

「いや、大丈夫だ。てか今日はバイトがあるからな。起こしてもらわなかったら多分あのまま寝ていたぞ…。」



「ところで日向さ…。」

ここで零は口を止める。

そしてしばらくして言う。

「あー…。せっかくだから飛鳥って呼んで良いかな?日向さんなんて呼んでたら堅苦しいしさ…。」



飛鳥はそう言う零を見て微笑みながら言う。

「うん。良いですよ。私も零くんって呼びますっ。」


ああ、女の子に「零くん」て呼ばれるなんて凄く嬉しい…。


だが、今日はバイトがある。

こんなところでデレデレしている場合ではない。


バイトまでの時間の間、飛鳥と話をして、飛鳥の事を知りたい。



彼女が本心から俺の事を好きなのかを知るために…。
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