無の王
しかし、なんだかんだで綾瀬の家の前まで来てしまった零。


綾瀬の家を見てみると意外と普通の家であった。

小さくもないし大きくもない至って普通という感じである。


・・・が、普通の家に住んでいること事態、実は凄いのである。


家を建てるには何百万、何千万という金が必要であるが、その前に家を建てる土地が無ければ家は建てられない。


そして、その土地を持っているということは親がそれだけ金を稼いでいるという事、そしてお金をちゃんと貯金している出来た人間ということが分かる。


酒や女、ギャンブルに溺れる者では土地・家は買えぬ。

綾瀬の両親は立派な人なんだな・・・と零は感心する。




「さあセンパイっ!そんなところでボーとせずに家にあがって!」

綾瀬に言われ恐る恐る家に入る零。


「お邪魔します・・・」

声からして緊張しているんだなと自分で気付く零。


こんな精神状態なのは初めてかも知れない。

なんで後輩なんかに心を乱されたんだ・・・。

綾瀬は悪魔の化身だぞ、簡単に男を家にあげる様な女だぞ。

そんな女がただの可愛い女な訳がない。

この女・・・何を考えてやがる・・・!


零はひたすら綾瀬を警戒する。

「さっ、2階に行きましょ。あたしのお部屋は2階なので。」


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