遠すぎる君
交わらない想い
落ち込んだ。
メチャクチャ落ち込んだ。
しおりに送った最後の余計な一言。
削除できるならあの時すぐやっていただろう。
あれきり返信のないメールに後ろ髪を引かれつつも、もうメールする内容が無い。
そして、今やるべき事を最優先にした。
しおりが来ないにしても俺は不甲斐ない姿をフィールドで曝す訳にはいかなかったから。
そうして迎えた関東大会。
青蘭はシード校なので三回戦から。
これに勝てば準決勝だ。
あ!
俺、昼からって事をメールすれば良かったんだ……
まぁ……待たすかもしれないけど、来てみたらわかるか……トーナメント表張ってあるしな。
って!場所言ってねぇ!
そして俺は最大のミスに気付いた。
もしかして……俺、日程伝えてないんじゃね?
オーマイゴッド‼
先輩達より早くきたサッカー場の受付の横で、俺は蒼白になった。
俺って、俺って……やっぱりサッカーバカだったんだ……
しおりがサッカーの試合の日程を知ってる筈がない。
あいつの行ってる東校は県大会すら出てこれなかったぐらいの弱小。
「今から送ろうか……」と携帯を取り出そうとしたが、
「早いね~」と誰かに背中を叩かれた。
奈々先輩だった。
部長もいた。
「……お早うございます。」
「お早う。頑張ろうね。」「高坂、しっかり頼むな。」
「……はいっ」
もう、しおりは間に合わないかもしれない。
だけど、やろう。俺はやらなきゃ。