遠すぎる君

さすがに関東大会の決勝とあって、観客席も超満員だった。

私は座るスペースを探すのを諦め、一番後ろで立つことにした。

美幸や永沢くんは、決勝の今日はさすがに学校からの応援に駆り出されていて、規定の場所に座っている。

私もあそこで座ってたはずなのにな……
なんて、今更どうしようもない事を思った。

遼はやっぱりスタメンではなく、でもベンチ入りしていた。

観客席からも「高坂出ないのかよ~」「シュート打てるやつ、2年じゃなかった?」なんて声が聞こえる。

そうは言ってもベストな状態の筈のチームがフィールドに出てくると、一心に応援に入りこんだ。

決勝ともなると相手校も相当強い。
青蘭もひけはとらないが、少しの油断であっという間に点を入れられた。

その勢いで追加の点が入る。

0-2

二点を追う辛い展開となった。
その後は両者譲らず、小康状態。

青蘭ベンチの遼はどんな場面でもじっと動かず、膝の上で手を握り締めて前屈みで試合を見ていた。

そして初めて大きな反応をしたのは青蘭のタイムがかかった時。

すでに後半が始まった後だった。
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