遠すぎる君

前半あれよあれよという間に二点を取られ、後がなくなった青蘭。

スタメンは皆、焦りと疲れが見えた。
それは部長も同じで。

部長は今日はスタメンだが、やはり腰を庇ってしまうのか動きが小さくなってしまっていた。

前半が終った時、「高坂、準備しとけ」と監督に言われたが、俺は自信がなかった。

だけど、焦れた試合運びで監督が我慢できなくなった時、俺は呼ばれた。
「高坂、交代だ。」

既に二点を取られているため、攻めを強化しようという監督の意思で俺は投入された。

俺を今日スタメンにしなかったのは間違いなく俺と監督の考えが同じだったはずなのに、試合展開がこうさせてしまった。
こうなったらやるしかない。
俺はフィールドで俺を待つ部長を見た。

部長は小さく頷いている。

大きな歓声に後押しされて、俺は歩き出した。
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