遠すぎる君
遼の足元から繰り出されるボールは、ゴールのバリアを受けているみたいに他所へと流れていく。
はやく決めなきゃ負けちゃう!
祈っても願っても、青蘭に点が入ることはなかった。
そうしているうちに、昨日ベンチにいて今日はスタメンの人が交代となった。
なんだか体調が悪いのかケガをしたのか、遼は付き添ってベンチまで送っていった。
そして再開された残りわずかな時間。
遼はシュートを他の選手に回し続けた。
直接狙えそうな時も必ず誰かに回した。
そして、なかなか点が入らない事に焦りと悔しさが見える。
それでも昨日までの強引なプレーは無かった。
なんで打たないの?もう時間がないのに。
遼が打てば入るんじゃないの?
そうは思うけれど、遼のプレーは頑なだ。
そんな試合に観客もベンチも焦り始めた。
ベンチからも「高坂!」と声がかかる。
何を考えてる、遼?
負けちゃうよ……