遠すぎる君
このまま
この恋は
自然消滅するんだろうか

いや、もうすでに無くなっていたのかな

それを打ち消すかのように
受験勉強に打ち込んだ。


夏休みが終わっても
変わらない私たちの距離を見て、
美幸でさえ
遼とは別れたのだと捉えた。




「中田さん、どうぞ~」
くじ引きの箱が目の前に差し出される。


10月には修学旅行がある。

そのためのグループ分けを決めるクジが回ってきた。
旅行先で一緒に廻という。
男女各3人ずつの6人組。

「しおり!何番?私は4番だったよ!」

美幸が私が引いたクジをかっさらった。

「え~1~…残念…」

「ほんとだね…」
中学最後の想い出に一緒に廻りたかったな。


思わずため息をついたら
横の席から男の子の声がかかる。
「中田さん。同じグループだね。よろしく。」

うん?と向くと
隣の席の眼鏡男子。永沢くん。
うちの学年でトップクラスの成績を持ち
生徒会役員もしている優等生くんだ。

あわててもう一度黒板を確認する。
「ほんとだね!よろしく!」

「俺も!一緒だ~」「私も!よろしくね。」
1番の紙を持って何人か集まってきた。

教室を見回すと
同じグループ同士、固まってワイワイやっている。

美幸の方を見ると
遼も…いた。

いいなぁ。
最後に一緒に廻りたかったな…

美幸と…遼と…

どちらへの想いが強いんだろう。

親友と恋人とを頭の中で天秤にかけて
ついクスッと笑ってしまった。


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