遠すぎる君
秘密
何事もなかったかのように
当たり障りなく

体育委員やクラスでの会話

私と遼ははじめて出会ったクラスメートの様に話せるようになった。

本当に必要な事だけだけど…


いつかきちんと話したいと思っていても
遼は目をすぐに逸らしてしまうから
何も言えなくなってしまって…

私も隠していることがあるけれど
それはすでに遼にとって重要ではないような気がする。
それを決定付けるのも怖くて
いつも私は逃げている。


そんな日々を淡々と過ごし

中学最後のビッグイベントとなった。

修学旅行は古都。京都だ。

私立でありながらなんと古風な選択…

うちは特別裕福ではなかったから
海外とか言われても親は困っただろうけど。

修学旅行中はたいていグループ活動。
先生が管理しやすいためとか。

大体の生徒が私と旧知だったため
グループ活動も問題ない。

でもやっぱり遼と美幸は最後だから一緒にいたかった。

京都では
お決まりの金閣寺に銀閣寺、二条城に御所など。
紅葉シーズン直前で少し空いているようだ。

清水寺の参道でおみやげ物を見ていたら
グループの子たちが既に先に行っていた。
焦って走りかけた時、後ろから呼び止められた。

「中田さん!」

振り向くと永沢くんがいた。
一人でも仲間がいて良かったと胸を撫で下ろす。

「よかった~置いてきぼりくっちゃったかと思ったよ。」

アハハ~と笑うと
俺も…と彼も笑う。

「おみやげいいの?行き着く先は決まってるから買ってきたら?」

「ううん。見てただけだし。」

「じゃ、行こっか。」

二人で並んで歩き出した。

私は急いでいるのに永沢くんは付いて来ないので
後ろを振り向いた。

「中田さん、外部受験するの?」

そう彼は聞いてきた。


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