遠すぎる君
ただベンチがあるだけの中庭には
誰もいなくてほっとした。
そこに鞄を下ろすと
「なんで永沢くんもいるのよ!」
永沢くんは美幸から詰め寄られた。
「保護者なの?弁護人?ただの彼氏?」
「まさかぁ。どれかと言われれば…弁護人かな?」
と、宥めるように美幸に苦笑いしている。
なんの罪もない彼を巻き込むわけにもいかず
「永沢くんは帰っていいんだよ…ありがとね。」
「でも誤解は解いておきたいし…」
「なによ!誤解って!」
「美幸…」
「中田さんの受験の事は
俺が生徒会室で資料を見て知った。
偶然なんだよ。」
「…あぁ、そう…」
それは納得したようだ。
「美幸、私は美幸にはきちんと言うつもりだったよ…
ただ、自分でも認めたくなくて…
口にすると現実になりそうで…
いや…実際、現実なんだけど!
もうすぐここから出ていかなきゃならないなんて…思いたくなかった!
高校でも美幸といたかったのに…
…言っちゃったら…もう…」
涙が止まらない。
ぐちゃぐちゃ。言いたいことの半分も言えない。
そんな私をじっと見て
「ごめん。永沢くんに嫉妬して怒鳴っちゃった。」と謝った。
「私こそ…ごめんね…」
「…なんでこんなことになってるか、教えて」
ベンチに座る。
永沢くんも近くに立っていた。
私は泣きながら一生懸命言葉を紡いだ。
誕生日前日のカラオケの後に伝えられた
母からの言葉。
偏差値の高い志望校へ絞った理由と
滑り止めがないこと
永沢くんに知られてから相談に乗ってもらい
勉強を時々教えてもらったこと
青蘭を辞めたくない気持ち
美幸になかなか言えなくて苦しかったこと
もう順序もバラバラでメチャクチャだったけど
美幸と永沢くんは黙って聞いてくれていた。
「もっと早く言ってよ…
過去問題集とか鞄に入ってんの見て
私ってナニ?とか思ってたんだから。
いつまでも何にも言ってこないし
永沢くんと図書室にいたりして…もう!」
美幸も泣いてた。
「ごめん…ほんとに…」
ハンカチで涙をぬぐいながら「しおりは本当にバカなんだから~」と少し笑った。
「高坂とは別れたのも、それが原因?」
突然の遼の話題に涙が引っ込んだ。
誰もいなくてほっとした。
そこに鞄を下ろすと
「なんで永沢くんもいるのよ!」
永沢くんは美幸から詰め寄られた。
「保護者なの?弁護人?ただの彼氏?」
「まさかぁ。どれかと言われれば…弁護人かな?」
と、宥めるように美幸に苦笑いしている。
なんの罪もない彼を巻き込むわけにもいかず
「永沢くんは帰っていいんだよ…ありがとね。」
「でも誤解は解いておきたいし…」
「なによ!誤解って!」
「美幸…」
「中田さんの受験の事は
俺が生徒会室で資料を見て知った。
偶然なんだよ。」
「…あぁ、そう…」
それは納得したようだ。
「美幸、私は美幸にはきちんと言うつもりだったよ…
ただ、自分でも認めたくなくて…
口にすると現実になりそうで…
いや…実際、現実なんだけど!
もうすぐここから出ていかなきゃならないなんて…思いたくなかった!
高校でも美幸といたかったのに…
…言っちゃったら…もう…」
涙が止まらない。
ぐちゃぐちゃ。言いたいことの半分も言えない。
そんな私をじっと見て
「ごめん。永沢くんに嫉妬して怒鳴っちゃった。」と謝った。
「私こそ…ごめんね…」
「…なんでこんなことになってるか、教えて」
ベンチに座る。
永沢くんも近くに立っていた。
私は泣きながら一生懸命言葉を紡いだ。
誕生日前日のカラオケの後に伝えられた
母からの言葉。
偏差値の高い志望校へ絞った理由と
滑り止めがないこと
永沢くんに知られてから相談に乗ってもらい
勉強を時々教えてもらったこと
青蘭を辞めたくない気持ち
美幸になかなか言えなくて苦しかったこと
もう順序もバラバラでメチャクチャだったけど
美幸と永沢くんは黙って聞いてくれていた。
「もっと早く言ってよ…
過去問題集とか鞄に入ってんの見て
私ってナニ?とか思ってたんだから。
いつまでも何にも言ってこないし
永沢くんと図書室にいたりして…もう!」
美幸も泣いてた。
「ごめん…ほんとに…」
ハンカチで涙をぬぐいながら「しおりは本当にバカなんだから~」と少し笑った。
「高坂とは別れたのも、それが原因?」
突然の遼の話題に涙が引っ込んだ。