遠すぎる君
しおりから年賀状が届いた

『卒業まで仲良くしてね』

まるで俺との縁は卒業までと言われてるみたいだ。

他のやつらからの年賀状には

『高等部でもよろしく~』とか
『サッカー部入るだろ?リベンジだ~』
とかだったのに。

筆無精の俺は
年賀状をくれたやつらにだけ
家族が印刷した年賀状に自分の名前を書き足して送った。

ただ、丁寧に手描きの年賀状をくれたしおりにだけは
どう返事していいかわからず
悩んだ末、そのまま冬休みが終わった。

そして3学期が始まると
しおりの姿はほとんど見られなかった。


はじめは親戚でも亡くなったか、
家族の具合が悪いとか…そんなことを思っていた。

2週間も過ぎるとクラスメート達も
変だと思い始めているようだ。

松井は他の友達と昼休みを過ごすようになった。
しおりが時々登校してくる時だけは一緒にいたけれど。

なにが起こってるんだろう。

俺はこれでいいんだろうか。

触れ合わなくなってから半年以上も経つのに
あの時から一歩も進めていないのがわかる。


またしおりが学校に来なくなって2日目

下校時刻になり
友達と帰ろうとする松井を
呼び止めた。

「松井…」




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