遠すぎる君
遼は膝の上の握りこぶしを震わせて
うつ向いたまま黙りこむ。

きっと自分を責めてる。

確かに私は遼に傍にいてほしかったけど
メールぐらい欲しかったけど

遼に罪悪感を持ってほしくない。

私だって連絡しなかった。


ただ、もう最後なんだから
卒業まで仲良くして、そしてサヨナラをしたかった。

「ごめんね…私、なんにも言わないで…
時間が経てば経つほど声掛けにくくなって…」

「………」

「勇気出せばよかった…
でもどうすることも出来ないことだから…」

「…しおり……ごめん…俺…」

「遼は悪くないよ。
私がちゃんと言葉にするべきだった。
……こんなとこまで来てくれて、ありがとう…」

私、笑えてるかな…

遼は私を見つめる。

泣きそうな顔。
子供がお母さんに置いていかれたような…
そんな遼の顔、初めて見た。

来てくれて嬉しかった。
話聞いてくれて嬉しかった。
数ヵ月のモヤモヤが少しでも晴れた気がする。

そしてもう一度心から

「ほんとにありがとう。
遼…大好きだったよ。」
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