遠すぎる君
卒業式後の個人の写真撮影も終わり
みんな親と共に帰っていった。
美幸とは明後日にまた会う約束をして別れた。
最後の挨拶を職員室の担任の先生にすると
「頑張れよ。いつでも相談のるから来いよ!」と
嬉しいことを言ってくれた。
最後に教室に行ってみると
そこに
遼がいた。
しぱらく見つめあった後
「…お疲れ…」
なんとも間抜けなセリフが出てきた。
「……おぅ」
ぶっきらぼうだけどちょっと照れていて
2年で仲良くなり始めた時の遼を思い出して
クスッと笑った。
遼の背中を見るように斜め後ろの席に座る。
遼の座った席には卒業証書を入れた筒と花束、たくさんのプレゼント。
「たくさんもらったね~」
今日は紙袋あるんだろうかと思いながら声をかけた。
「部活の奴等から…な」
「そんなに貰えるなら私も何か部活入っとけばよかったなぁ~」
うん。1年前のように自然に喋れてる。
「サッカー頑張ってたもんね」
遼の背中が強張る。
自分の失言に気づいて
「……っ…ごめ…ん」咄嗟に謝る。
決して責めるためではなく、
本当に心からそう思ったから。
遼が何のためにこの青蘭に入ってきたか
わかってるから。
中学では全国は行けなかったけど
関東大会で名を馳せただけでもスゴいと思うんだけど。
嫌みじゃないとわかってくれるだろうか。
無言が続き
心を落ち着かせた。
「高校でもサッカーやるんだよね?」
「……あぁ」
よかった。彼は何も諦めてはいない。
真っ直ぐな遼だ。
「頑張ってしか言えないけど、頑張って。応援してるよ。」
笑顔で言えた。
鞄を持って立ち上がる。
それを阻止するように遼は顔を上げた。
「しおり。俺はお前を引っ掻き回しただけだったな。」
こんなに穏やかで清々しい思いでいるのに
「悪かった」
遼は簡単に私の心を吹き荒らす。
「チョコも嬉しかった。ありがとう。」
ダメだ……泣いちゃダメだ。
「俺はガキで上手く言葉や態度に出来なくて……」
俯いた遼の顔が滲んで見えなくなった。
「俺は…………いや、」
ポタポタと涙が落ち、上靴が濡れていく。
「お前が応援してくれるって言うなら
俺は今度こそ必ず結果を出す」
声を出そうとすると呻き声になり
うんうんと頭を縦に振る。
遼は一呼吸吸ってから
ゆっくり息を吐き出した。
「……元気で…」
みんな親と共に帰っていった。
美幸とは明後日にまた会う約束をして別れた。
最後の挨拶を職員室の担任の先生にすると
「頑張れよ。いつでも相談のるから来いよ!」と
嬉しいことを言ってくれた。
最後に教室に行ってみると
そこに
遼がいた。
しぱらく見つめあった後
「…お疲れ…」
なんとも間抜けなセリフが出てきた。
「……おぅ」
ぶっきらぼうだけどちょっと照れていて
2年で仲良くなり始めた時の遼を思い出して
クスッと笑った。
遼の背中を見るように斜め後ろの席に座る。
遼の座った席には卒業証書を入れた筒と花束、たくさんのプレゼント。
「たくさんもらったね~」
今日は紙袋あるんだろうかと思いながら声をかけた。
「部活の奴等から…な」
「そんなに貰えるなら私も何か部活入っとけばよかったなぁ~」
うん。1年前のように自然に喋れてる。
「サッカー頑張ってたもんね」
遼の背中が強張る。
自分の失言に気づいて
「……っ…ごめ…ん」咄嗟に謝る。
決して責めるためではなく、
本当に心からそう思ったから。
遼が何のためにこの青蘭に入ってきたか
わかってるから。
中学では全国は行けなかったけど
関東大会で名を馳せただけでもスゴいと思うんだけど。
嫌みじゃないとわかってくれるだろうか。
無言が続き
心を落ち着かせた。
「高校でもサッカーやるんだよね?」
「……あぁ」
よかった。彼は何も諦めてはいない。
真っ直ぐな遼だ。
「頑張ってしか言えないけど、頑張って。応援してるよ。」
笑顔で言えた。
鞄を持って立ち上がる。
それを阻止するように遼は顔を上げた。
「しおり。俺はお前を引っ掻き回しただけだったな。」
こんなに穏やかで清々しい思いでいるのに
「悪かった」
遼は簡単に私の心を吹き荒らす。
「チョコも嬉しかった。ありがとう。」
ダメだ……泣いちゃダメだ。
「俺はガキで上手く言葉や態度に出来なくて……」
俯いた遼の顔が滲んで見えなくなった。
「俺は…………いや、」
ポタポタと涙が落ち、上靴が濡れていく。
「お前が応援してくれるって言うなら
俺は今度こそ必ず結果を出す」
声を出そうとすると呻き声になり
うんうんと頭を縦に振る。
遼は一呼吸吸ってから
ゆっくり息を吐き出した。
「……元気で…」