遠すぎる君
もうすぐ最後だから言うけどね

と前置きをしてから景子先輩は

「私、高野くんが好きなんだ。」

さっきの景子先輩の様子で何となくわかったんだけれども
改めて聞くと不思議な感じ。

真紀ちゃんはひとしきり
えーえーっと驚いた後、
「私は景子先輩と岸田先輩が付き合ってるんだと思いました。」

私は
「で、高野先輩が景子先輩に片想いしてるんだと思いました。」

「そうでしょ?そう思うでしょ?

なのにさぁ~

あいつ、なんにも言ってこないんだよね。

このクラブだって二年の途中で理科クラブってとこから無理矢理移籍させて。
無理矢理部長にさせてさぁ。
逃げれないように追い詰めてんのにさ。

思わせ振りな態度とるからヤキモキするんだけど
それ以上はなんにも無し!

悪い男だよね!」

「すご~!自分から?」

「だって放っといたら一生このままだもん。」

確かに……恋愛には疎そうだ。

「高野先輩って、もしかしたら岸田先輩に気を使ってるんじゃないですか?」

「ないない。岸田くんは前から私と高野くんを二人にさせたりしてくれてたから。
どっちかと言うと岸田くんも付き合わされて可哀想なことしたわ。
ほんと、マイペースだわ、あいつ。」

強引な景子先輩がそんなこと言う。

「だから。今度の最後のツアーで何とかしたい!」


真紀ちゃんが
「協力します!」
と勢いよく手を挙げると
景子先輩はその手を握って
「ありがと~嬉しいよ~」

私も勿論真紀ちゃんに賛成した。


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