遠すぎる君
東高まではとても行けず、
しおりの家と東高の間の
おそらくしおりの通学路をいつものように通った。
何ヵ月も会えなかったから
まさか誕生日にバッタリ出会える…なんて
期待はしてはいなかったけど、
もしかしたらという気持ちがあったのか
やっぱりその道を通った。
大きな交差点で信号待ちしてるその時、
反対斜線のその向こうの歩道にカップルが楽しそうに歩いていた。
東高の制服ってだけでドキッとする。
あんまりカップルをじっと見るのはどうかと思ったけど
もう一度視線を向けると
長い髪を肩まで切った
しおりだった。
数ヵ月しか経ってないのに
ものすごく大人びたように見え、
すごくドキドキした。
だけど
明らかに年上であろうお揃いのネクタイを締めた男と歩いている。
とても楽しそうに笑っている。
4車線もある道路の向こう。
もちろん俺には気付かない。
信号が青になっても動く事ができない俺を
怪訝な様子で後ろから自転車や人が追い越していく。
俺はゆっくり二人を見送る。
彼氏が……出来たのだろうか。
こんな短期間で……
俺は自転車の向きを変え、二人が辛うじて見える距離で付いていった。
俺には気付かず、楽しそうに笑いかけているしおり。
俺の大好きなしおりの笑顔だ。
笑ってる。元気なんだ。
それをただ確かめたかった。
なのになんだ。イライラするなんて。
その上、こんなストーカーじみたこと…
モヤモヤしてると二人は大通りを曲がり
路地に入ってしまった。
慌てて自転車に跨がり後を追う。
二人が曲がったところを覗く。
そこにはとくに何もなく
古びた喫茶店が一軒。
ここに……入ったのか。
誕生日に喫茶店に入る。
男女二人で。
決定的だった。
俺はそのまま逃げ帰った。
しおりの家と東高の間の
おそらくしおりの通学路をいつものように通った。
何ヵ月も会えなかったから
まさか誕生日にバッタリ出会える…なんて
期待はしてはいなかったけど、
もしかしたらという気持ちがあったのか
やっぱりその道を通った。
大きな交差点で信号待ちしてるその時、
反対斜線のその向こうの歩道にカップルが楽しそうに歩いていた。
東高の制服ってだけでドキッとする。
あんまりカップルをじっと見るのはどうかと思ったけど
もう一度視線を向けると
長い髪を肩まで切った
しおりだった。
数ヵ月しか経ってないのに
ものすごく大人びたように見え、
すごくドキドキした。
だけど
明らかに年上であろうお揃いのネクタイを締めた男と歩いている。
とても楽しそうに笑っている。
4車線もある道路の向こう。
もちろん俺には気付かない。
信号が青になっても動く事ができない俺を
怪訝な様子で後ろから自転車や人が追い越していく。
俺はゆっくり二人を見送る。
彼氏が……出来たのだろうか。
こんな短期間で……
俺は自転車の向きを変え、二人が辛うじて見える距離で付いていった。
俺には気付かず、楽しそうに笑いかけているしおり。
俺の大好きなしおりの笑顔だ。
笑ってる。元気なんだ。
それをただ確かめたかった。
なのになんだ。イライラするなんて。
その上、こんなストーカーじみたこと…
モヤモヤしてると二人は大通りを曲がり
路地に入ってしまった。
慌てて自転車に跨がり後を追う。
二人が曲がったところを覗く。
そこにはとくに何もなく
古びた喫茶店が一軒。
ここに……入ったのか。
誕生日に喫茶店に入る。
男女二人で。
決定的だった。
俺はそのまま逃げ帰った。