遠すぎる君
4月になって、私は2年になった。

歴史研究会は新たに入部する人もなく、
私と真紀ちゃんの私室のようになった。

真紀ちゃんは景子先輩と繋がってるらしく、高野先輩とのキャンパスライフを面白おかしく話してくれる。
そして時々岸田先輩のことを聞いてくる。

だけど私には伝えることがなかった。

だって、大学に入ってから連絡が無いから。

私からすればいいと思うが、
3月に入ってからの私たちはギクシャクしていた。

すべて私のせい。

あんなに愛されていたのに同じ気持ちを返せなくて、
このまま自然消滅でもいいんじゃないかと頭の片隅で思っている。

遼の時はあんなに自然消滅が怖かったのに……

私はなんて卑劣な情の薄い女なのか。

こんな女、岸田先輩もとっとと忘れればいいんだ。

私は恋愛に向いていない。

先輩には幸せになってほしい。
あんなに優しくて、かっこよくて……
そんな先輩を私では幸せにできないと思った。

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