遠すぎる君
あの練習試合の敗北の後

俺たちレギュラー陣は昼休みも惜しんで
練習にミーティング。

地区予選は勝ち進んでも
関東大会で必ず早川と当たる。

負けるもんか。

俺は携帯を持ち歩かなくなるほど
ずっとサッカー部に入り浸っていた。

帰れば食事もろくに摂れないほど疲労が襲ってきて
風呂も入らずに寝てしまい
お袋によく怒られた。

しおりにメールしなきゃと思いながら
1週間も経ってしまって
なんだか何を伝えていいのかわからず
気まずい気持ちで何も送れなかった。

昔俺をいじめたOBの一人に
「浮わついてるから負けんだよ!」
とか謂れのないことを言われたけど
浮かれててもやることはやってると自負していたし、
「中田と高坂くんと別れたんだ」
とか聞こえてきたりもしたけど
それも事実じゃないから気にしなかった。

「別れてねーし。」

いろいろと言う奴等を無視して
今出来ることをやってるつもりだった。

しおりのこと以外で…

彼女がその時
どんな気持ちだったか

俺は本当に高慢なバカ野郎だった。




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