裏ギフト
リーダー
結香を川へ突き落としてやろう。


そう言いだしたのは初とつぐみの2人だった。


サイト上のにせ物の悪口を見せられて、相当頭にきていたのだろう。


2人の口からは次々と悪だくみが出て来た。


あたしはその会話をほくそ笑んで聞いていただけだ。


否定もしていないが肯定もしていない。


2人がどんどん話を進めて、放課後に結香を待ち伏せすると決めた時、あたしはようやく口を開いた。


「それじゃぁ、あたしが見張りをしてあげるよ」


自分の手は汚さず、遠巻きに結香がびしょぬれになるのを笑って見ている事に決めた。


結香を突き落とした事が誰かにバレたとしても、見張り役なら偶然その場に居合わせたと言える。


1人の帰り道、あたしは結香が川に落ちる瞬間を思いだして、思わず声を出して笑っていた。
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