裏ギフト
結香に話しかけられた永遠は戸惑った顔をして、だけど嬉しそうにほほ笑んでいる。


あたしには見せてくれない顔。


あたしは自分の胸の奥で黒いモヤが生まれるのを感じていた。


永遠は結香を見ている。


仲の良いあたしじゃなく、結香を見ている。


「この前の誕生日に、お父さんがバッグを買ってくれたの」


嬉しそうに話す結香。


「そうなんだ。お父さんと仲がいいんだね」


ぎこちなく、照れながら返事をする永遠。


うそつき。


あたしは心の中でそう思った。


バッグなんてどうせ男に買わせたんだろ。


中年男をたぶらかして、バンバン金を使わせているんだろ。


あたしは結香がそんな子じゃないと知っていた。


けれど、心の中でそうののしった。
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