裏ギフト
今でも虫を見るとその頃の記憶が蘇ってくるのだろう。


まぁ、食べちゃったならトラウマになっても仕方がない。


「中学に上がってから、みんなに明るく接するようにしたの。そしたらイジメも自然とおさまってたんだけどね……」


「そっか」


あたしは頷き、トイレのドアを開けた。


結香は昔からイジメられっ子体質だったわけだ。


下駄箱に虫を突っ込んだ時の落ち込み方が激しかったのも、今なら納得できる。


あの時も今日みたいに昔のイジメを思いだしていたのだろう。


結香が手を洗っている間、あたしは教室に戻って虫たちを袋に戻していった。


体が半分に千切れたミミズ。


足がなくなったバッタ。


まるまったまま潰された団子虫。


「お疲れ様」


袋に回収し終えた虫たちにそう言い、ゴミ箱へ捨てた。
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