裏ギフト
放課後になってもなかなか立ち上がろうとしない結香に、あたしは話かけた。


「結香、大丈夫?」


「侑里……」


顔をあげた結香の目は真っ赤に充血していて、ほぼ1日中泣いていたのだろうと思った。


「一緒に帰ろう」


そう言い、手を差し伸べる。


しかし、結香は左右に首をふって「いい……」と、言ったのだ。


あたしはその言葉に目を丸くした。


結香は今日1日1人ぼっちだった。


そんな結香を誘ったのに断られるなんて……ありえない。


あたしは自分の胸の奥に黒いモヤが生まれるのを感じていた。


どうして結香は素直にあたしの言う事を聞かないんだろう。


あたしはこんなにも優しく接しているというのに、この態度はどういう事だ。
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