裏ギフト
暖はそう言い、怯えた表情を浮かべた。


この男は人を騙したこともないのか。


初やつぐみ以上に純粋なのかもしれない。


「騙すって言うと人聞きが悪いから、結香の彼氏役を演じるって考えるのはどう?」


そう言うと、暖はみるみるうちに顔を真っ赤に染めた。


異性と付き合った経験もないから、彼氏役という言葉に敏感に反応しているみたいだ。


「彼氏……」


「そう。もし結香の事が気に入れば本当に付き合ってみてもいいかもね」


そうなれば暖はあたしから離れて行くし、一石二鳥だ。


まぁ、暖の場合結香を押し切って付き合うなんて無理だろうけれど。


「つ、付き合うなんて、そんな!!」


冗談で言った事を本気にして焦り始める暖。


もしかしたら女なら誰でもいいのかもしれない。


とにかく誰かと付き合って見たい。


そんな気持ちも感じ取れた。
< 168 / 382 >

この作品をシェア

pagetop