裏ギフト
☆☆☆

それから放課後まではあっという間に過ぎて行った。


結香は当別目立った様子を見せないが、暖は緊張から更に挙動不審な動きになっている。


でも、暖の事なんて誰もみていないから大丈夫だ。


「ねぇ、帰りはどうする?」


ホームルームを終えて帰る準備をしていると、つぐみがそう声をかけてきた。


「結香のこと?」


「そう」


「少し様子を見て一緒に教室を出ようと思ってる」


「わかった」


つぐみは頷き、自分の席に戻ってカバンに教科書を詰め始めた。


初も、時々結香の事を気にしながら帰る準備を始めている。


しかし、途中から結香は瞬きを繰り返し、机の中を覗き込んだり、奥まで手を突っ込んだりを繰り返す。


「なにしてるんだろ」


つぐみがそう聞いてきたので、あたしは首を傾げた。


でも……。


あたしは教室の後ろに置かれているゴミ箱に視線をやった。


ホームルームが始まる前に結香の筆箱をゴミ箱へ捨てておいたのだ。
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