裏ギフト
結香は今それを必死になって探している。


椅子から下りて机の中を覗き込んでいる結香。


その表情は徐々に青ざめていく。


ようやくどこかへ隠されたのだと気が付いたのだろう。


あたしはその様子を見計らって、自分の席を立った。


「結香、一緒に帰ろう?」


そう声をかけると、結香が泣きそうな顔をしてあたしを見上げた。


「どうしたの?」


「筆箱が……なくって……」


「えぇ?」


あたしは大げさなくらい驚いた声を上げて、結香の隣にしゃがみ込み机の中を覗き込む。


「先に鞄に入れたんじゃないの?」


「ううん。入れてないよ」


結香は左右に首をふる。
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