裏ギフト
あたしと結香は2人で教室中を探し回り、気が付けば教室には2人きりになっていた。


さっきまで教室にいた暖とつぐみも、少し前に教室を出た。


それを確認したあたしはゴミ箱を覗き込んだ。


その中には残飯の上に放り投げられた結香の筆箱があった。


「結香! あったよ!!」


教卓の周りを探していた結香に声をかける。


結香はハッとしたように顔を上げ、そして走ってきた。


「ほら、これ」


あたしはゴミ箱の中を指さす。


「あった……」


結香はグッと下唇を噛んで、そう呟く。


「そのまま手を突っ込むのは汚いからちょっと待ってて。今軍手を持って……」


最後まで言い終わる前に、結香がゴミ箱へと手を伸ばした。


あっと思って、止める暇もない。


結香は生ごみにまみれた筆箱を拾い上げていた。


筆箱には米粒やパンのカスがついていて、あたしは顔をしかめる。


結香は無言のまま生ごみを手で払い、筆箱を鞄に入れた。


「結香……大丈夫?」


「……平気。あたしと一緒にいたら侑里までイジメられちゃう。今日は別々に帰ろう」


小さな声でそう言い、結香は教室を出たのだった。
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