裏ギフト
あたしは慌てて自分の鞄をつかみ、結香の後を追った。


教室を出ると結香は廊下を走っていて階段へと向かっていて、あたしは小さく舌打ちをした。


あたしの計画では一緒に帰る途中に結香を突き飛ばし、暖がそれを受け止め、その瞬間をつぐみが写真に収めるというものだった。


だからわざわざ筆箱を隠し、結香の帰りを遅らせたのだ。


それなのに……。


あたしは渋々走り出す。


今ならまだ結香に間に合う。


そう思った時だった。


暖が隠れている曲がり角に差し掛かった時、結香が足を絡ませた。


バランスを崩す結香。


咄嗟に暖がかけより、その体を抱きしめる。


その瞬間、柱の陰にかくれていたつぐみが携帯のシャッターを切った。


結香が唖然としてなにも理解できていないうちに、何度も何度もフラッシュがたかれる。


あたしは足を止め、その光景にニヤリを笑う。


計画は失敗したけれど、うまく行った。


これで明日の朝には暖と結香の抱き合った写真が学校中にバラ撒かれることになるだろう。


あたしはそう思い、結香たちとは逆側の階段へ向かって歩き出したのだった。
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